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 2007年06月 

ships #01 


 与えることに夢中になり
 与えられることに貪欲になった
 失うことに敏感になり
 求めることに臆病になった

 気が狂いそうな日々の中で
 愛されることだけを願っていた



 暗闇を隠す白磁の空。
 深く漂っていた意識が急激なスピードで吸い上げられる。覚醒すると分かった瞬間、瞼に映ったのは誰の姿か。水面に持ち上げられた意識は行き場を失ったまま、朝の光に放り出された。
 横隔膜が上下し、辛うじて浅い呼吸を繰り返す以外、まるで動いていないのではないかと思えるこの身体。つい今し方のモノクロームの映像は、青年からすべてを奪うのに充分だった。
 ───嫌な夢。
 ベッドの上に起き上がることも出来ず、ただ呆然と目を開く。既に何年もの時間が経ったはずなのに、思い出は未だ生々しく安里に迫った。
 掴めぬ愛に藻掻き苦しみ、泥土を這うように自分を追い詰め生きることしか出来なかった数年間。手に入れたと思った青い鳥はいつも飛んで行くばかりで、残された空の鳥籠だけが惨めに涙で錆び付いていた。
 何が幸せで何が不幸か、そんなことはどうでもよかった。いつも相手への気持ちを抑え切れず、対等になることなどないまま終わりは訪れ、注ぎ過ぎた愛の重さで自分の心を傷付けてゆく。そんな毎日。
 与えることに疲れ、求めることを恐れ、もう一歩も動けないほどボロボロになるまでそれを繰り返して、繰り返して──。
「忘れたと思ってたのに……」
 辛い過去を葬るように安里は幾度も首を振った。まるでそうすることだけが唯一の手段だとでもいうように。そうして脳裏に漂う輪郭が一刻も早く消えることだけを望み、望み、望み──またありふれた1日が幕を開ける。
 窓の外、雨の匂い。
 新緑を濡らす細い雨はまるで泣けない自分に代わるように静かに天から降り注いでいた。
 溜息を振り切って身支度を整え、通い慣れた道を行く。
 もう二度と恋はしない。
 それが最後のプライドだった。

ships#02 に続く

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 [ships]:リーマン(年上×年下)
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 [cross]:パラレル(スレイヤー×吸血鬼)
 [seek]:業界(鬼畜担当×BL作家)
 [noir]:パラレル(執事×子息)
 [sign]:[ships]番外編(カメラマン×バーテン)
 [seasons]:異業種(ワンコ×ツンデレ)
 [faith]:パラレル(W王子×高校生)
 [faith-2]:[faith]続編 ※連載中
 [message]:セリフSS、企画等