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 2007年11月 

guys #26 

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 楽しい時間はあっと言う間に過ぎてゆく。それに懸命であるなら尚更。
 開始直後からかなりの賑わいを見せた2年C組のクラス展示は、結局予定していた自由時間もままならないほどの盛況ぶりで、急遽担当10分交代制を導入し乗り切った。駆け足で近くを見て回るのがやっとな短い休憩でも、束の間のお祭り気分を満喫するには充分で。逆に自分の仕事に集中しているからこそ、この浮き足だった空間がやけに心地よかった。
 外部対応に終始したクラス委員が喫茶店に顔を出せたのは結局夕方を過ぎてからだったが、対峙した幼馴染みはそれでも笑って迎えてくれた。
「……来るのが遅くなってごめん。もう営業時間外だな」
「いーっていーって。そっち忙しかったんだろ? こっちもまー、エライことになってたからさ」
 そう言ってニッと苦笑する。
 聞けば、和哉のいるテニス部のメイド喫茶は首謀者の企て通り大繁盛だったらしく、廊下に長い行列が出来たのだと言う。自慢気に胸を張るのに成功を祝いつつも、メイド服の幼馴染みが小首を傾げて立っているというダメージに立ち眩む。明るい髪色に合わせたウィッグに大層ご満悦な様子を見るにつけ、悪いと思いつつ目を泳がせた。
「思い出深い文化祭だな……」
「だろー? 俺このまんま後夜祭出ることにしたんだ」
「………そうか…………」
 何かが吹っ切れたようにハツラツと言い切る相手に対し、もはや切り返す言葉もない。30分後に迫った後夜祭に向け大急ぎで片付けをするという和哉と別れ、再び教室に戻った律誠は、またも思い掛けないものと対峙することとなった。
「───本当に?」
 それは、クラス展示部門での金賞受賞を知らせる吉報。
「やったな、律誠!」
「お疲れ、委員長」
 クラスメイト達が口々にリーダーを労う。皆律誠がどれだけの労力を裂いて今日の日のために尽くしてきたかを見ていたのだ。度重なる執行部との調整、部材調達から搬入出、そして皆のスケジュール管理に至るまで細々と、そして的確に計画を推進してきた縁の下の力持ちに惜しみない拍手が贈られる。それを静かに受け止めた律誠は、一頻りの声を待ってすっと目を細めた。
「皆で頑張った成果だな。だからこの賞は、ひとりひとりに受ける資格がある」
 半年前は名前も知らなかった仲間とひとつの目標に向かって歩み寄り、力を出し合い、自らの意志と好奇心で展示を支え、ひとつになった。よりよくしたいと思うほどクオリティは上がり、もっと楽しませたいと願うほど面白さが増した。
 そうして今、この1ヶ月は無駄じゃなかったと確信させてくれる結果がここに。
「じゃあ、円になって……」
 パネルで仕切った狭い室内。全員で輪を作って心を揃える。
「皆、お疲れさま。よく頑張ったな」
 ひとりひとりの顔を見渡して。やり遂げた仲間達の笑顔を胸に刻んで。
「金賞受賞おめでとう!」
 わぁっと突き上がるいくつもの拳。この光景をずっと忘れないと誓った。



 陽が落ちたグランド。
 その中央には特設ステージが設けられ、キャンプファイヤーのように四方で火が焚かれるというドラマティックな演出の中、展示やパフォーマンスなどの各分野における金賞受賞者に賞状の授与が行われた。
 真っ先に呼ばれた2年C組のクラス委員は、手にした賞状を誇らし気に掲げてみせる。たった1枚の紙切れだけで何が変わるのかと問われても、今なら胸を張って言えるだろう───その過程にこそ意味があるのだと。
「雨降って地固まる、だねぇ……」
 そんな様子を少し離れた取材櫓から見下ろしていた有栖がポツリと呟いた。
 波瀾万丈あった級友のすぐ傍で一部始終を見てきた自分にとっても、やはりこの受賞は感慨深い。そして何より委員長と問題児、最初の頃のギクシャクした遣り取りから徐々に距離を縮めていった道のりのすべてが、今日のこの結果へと繋がっていたのだとさえ思う。律誠が雪之を変え、雪之がクラスを変えた。連鎖反応のように未来が開けた。
 と、唐突にそれまでの静かなBGMが止み、代わりに歓声が沸き上がる。一瞬遅れて鳴り響くアップテンポのダンスミュージックに乗せて、後夜祭開会が宣言された。
「ありすー」
 派手な音を縫う小さな声。ハッと顔を上げればカメラを携えた相方が手招いていた。
「はーい、今行くよー」
 文化祭のメインイベントとも言える後夜祭、ジンクスには事欠かない。見逃すわけにはいかないのだ。
 慌ただしく取材道具を掻き集めると、ジャーナリストは足早に夜に紛れていった。

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今日の内容はBLと言うより大風呂敷畳みの回って感じですね。
ようやくいろいろ閉じました。ついでに伏線も敷きました(また…)
余談ですが私の出身校も後夜祭が派手で楽しかったです。学生っていいなぁ……。

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guys #27 に続く