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 2007年11月 

cross #05 

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 雨の中、対峙する白。
 ジリジリと詰め寄る黒服達の中で、唯一それだけが闇に浮かぶ。心臓を一突きにすることで不死身の相手さえ殺せると伝えられる、白木の杭である。
 緊張で指先が冷たくなるのが分かる。
 心音だけがやけに大きく聞こえていた。
 スレイヤーが気配で敵を知るように、彼らもまた自らの存在を危ぶませる相手の動きは熟知している。当然キリエが近付いて来ているのは薄々気付いていただろう。だが、こんなにも早く、しかも正確な位置を突き止められるとは予想もしていない。明らかに数年前とは変わっている彼らの組織力に、スレイヤーはただ唇を噛むしかなかった。
 コツ、と響いた靴音が合図だった。
 間合いを詰めた相手が一気に懐に入り込もうとするのをすんでで避け、背面を壁に取り体勢を立て直す。矢継ぎ早に空気を切り裂くヒュッという音を捉え、身を屈めて足を掬った。
「……くっ」
 転倒してもただでは起きないというのか、一際大きな犬歯で切り裂こうとする輩を蹴り上げ、鈍い音を背中に聞く。だがスレイヤーの力を発揮すべく消滅の印を結ぼうにも、多勢に無勢、しかも雨。おぼつかない足元に気を取られ攻撃はやがて防戦一方になり、泥濘に気を取られた一瞬の隙を縫って視界端に捉えた、白。
「………ぐ……ぁ、っ」
 切っ先が胸を抉る。
 めり込んだ杭が骨を砕く音。
 迫り上がる血液で口内は鉄に染まり。
 耳鳴りに反して外界のすべての音が無音になる。
「は、…っ」
 息が出来ない。息が出来ない。吸うことも。吐くことも何も。苦しい。苦しくて堪らない。こんなところで躓くなんて。こんなところで。もう少しなのに。もう少しで手が届くのに。"彼" に届くのに。"彼" に最後をあげられるのに。

 この手で息の根を止められるのに───。

 煙るような雨にすべてが覆われてゆく。
 黒い血は洗い流され、蹲る身には神の慈悲さえ与えられない。
 昏倒したキリエはそれきり意識を失い、冷たい路上に身を投げ出した。

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いつになったらBLになるんだとお怒りの声に怯えています……(T-T)
でも実はこういう戦うシーンを書くのが大好きです。瞬間を切り取るのが特に。

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cross #06 に続く