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 2007年12月 

cross #21 

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 闇に繰り返す低い呼吸。
 息を吸い込むたび苦し気な音が混ざることをもはや隠しもせず、冬夜はひとり背を丸め続けていた。
 自分の身に起こり掛けている変化が何か分からない。それが生理的なものか、心理的なものか、それさえも区別出来ないまま、ぼんやりと窓から差し込む月光を見る。床の些細な傷さえ浮かび上がらせるほどに明るい光は、病める者を癒すように静かに降り注いでいた。
 ふと呼ばれたような気がしてベッドを出る。ゆっくりと窓辺に歩み寄るたび、鼓動に連動して身体中の血が湧き上がるのを感じた。
 熱い。身体が熱い。まるでキリエに抱かれたあの時のように。苦しい。息が出来ない。頭のどこかで骨の砕ける音。ミシミシと響くそれはまるで地鳴りのように頭蓋骨を駆け巡った。
「……くっ」
 思わず口元を押さえる。
 瞬く間に口内に溢れた鉄───血液だった。
「……とお、や……?」
 小さな問いに振り返ると、そこにはいつの間にか目を覚ましたキリエが立ち尽くしていた。
「やっぱり苦しいんだろう。……まさか……吐血したのか!?」
「だ、いじょぶ……」
 覗き込む彼に心配を掛けまいと笑って見せようとした、その時。
「───っ!」
 傍らで息を呑む音に動きを止める。何事かと見返した双眸、信じられないものを見るように見開かれている瞳に声も出せなかった。
「冬夜、それ……」
 指差す先、肥大した両の犬歯。
 何が起きたのか理解出来なかった。身に降りかかった運命に抗うことすら許されず、怒りすら込めた目で凝視されることに耐えなければならない苦痛。冬夜の不安はパニックに変わった。このままじゃいけない。このままじゃ拒絶される。そう思えば思うほど動かない手足は、僅かに持ち上げられたまま惨めに空を彷徨って落ちた。
「まさか……」
 俯いた顔。
 わなわなと拳を握り締めながらキリエは必死に自我を保とうと試みるのだけれど、爆発的に湧き上がる感情にもはや己のコントロールさえままならない。
「まさか君は……っ」

 吸血鬼だったのか───!

 詰問者の動揺を嘲笑う満月の夜。
 歯茎を割り裂いた牙が月光を映してらてらと光る。

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まさかまさかのクロ判定。突然変異の理由とは……。
ここから怒涛の勢いで展開します。是非是非、お付き合いくださいませ!

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cross #22 に続く