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 2007年12月 

cross #27 

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 事態は淡々と、だが確実に転機を迎えていた。
 キーワードを拾い上げた冬夜は眉を潜め、確かめるように言葉を紡ぐ。
「……今、先天的な性質、って言ったよな?」
「はい。これもお話しなければなりませんね。───私と違い、冬夜様は生まれながらではなく、後天的に吸血鬼になられました。この場合、その時点から歳を取ることがありません」
「……歳を、取らない……?」
「はい。冬夜様は17歳の頃から外見上の変化がありません。無論、日々の経験や知識は積み重ねられてゆきますが、お姿は昔のままです」
 思い当たる気がする。不安がまた煽られてゆく。この続きを自分は知っている気がした。
「ご自分の意思とは関係なく、引越しを繰り返しながら生活している、と思われたことはありませんか」
「あ……」
「外界との接触を持つことなく、他人と交わりを持つことなく、生きていると感じたことはありませんか」
「あ、あ……」
「これは一重に、何年経っても変わらないあなたを不審に思う者が出ないように、との苦肉の策です」
 確かに根付いた場所はどこにもない。深い関わりを持った者もない。ただ生きているだけの毎日で、それを繰り返すことすら疑問に思ったことがなかった。
「私達は、始祖である冬夜様をお護りするために、敢えてあなたの記憶と力を封印しました。元々始祖であるあなたは日の光や銀に耐性がおありでしたが、それ以外にも水やガラスなど、様々なものに対する抵抗力を施したのです」
 川の流れを飛び越えられたでしょう、と付け加えられるのを聞きながら、冬夜は呼吸を繋げなかった。自分を暴かれる未知の恐怖に言葉すら出ない。そんな彼の心中を察してか、蘇芳はなおも穏やかな口調で淡々と続けた。
「この家に鏡はないはずですが、いかがですか」
「……うん。ない、けど……」
 まさかそれも、と続く声は音にならずに消えた。
「えぇ。私達があなたの記憶を操作した結果です。さすがに鏡に映らないとなればあなたにも気付かれてしまう。私達の目的は、冬夜様本人にさえ悟られないよう始祖の存在を隠し通すことでしたから」
「そう……なんだ……」
 急激な混乱に目の前がぐにゃりと歪む。
 一体、この身に残る記憶とは何なのか。
 そして始祖であるという自分をそうまでして護る目的とはどこにあるのか。

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頻繁な引越し、鏡の件、吸血鬼の4条件としてキリエが判定した項目 etc...
いろいろ一気にネタばらし。明日は更に核心に触れていきます。

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cross #28 に続く