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 2008年01月 

cross #35 

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「俺の名前……」
 運命のカウントダウンの中、ポツリと冬夜が呟いた。
「本当の意味を知った時、俺は気付くべきだったんだ」
 何かを思い出したというのか、非常事態であるがゆえに静かな口調は、だからこそ鋭い緊張感を生む。恐らく初めて明かされるであろう事実を前に、キリエは努めて平静を保った。
「本当の、意味……?」
 先を促すと、一拍の逡巡の後、冬夜は顔を上げる。
「Given name の "シン" は、英語で───"罪(Sin)"、だ」
「冬夜、自分を責めるな」
 肩に両手を置き、我に返るようにと揺さぶるものの、当の本人は自ら口にしたことで既に理性を失っていた。
「もともとは俺から始まったんだ。俺がいなければみんな死ぬことなんてなかった。おまえの恋人だってそうだ。みんな俺が奪ったんだ……!」
「冬夜!」
 半狂乱になった相手を力任せに引き寄せ、抱き締める。窒息してしまいそうなほど強い力。触れ合ったところから溶けてしまいそうだと思った。
「君は生まれながらの吸血鬼じゃない。君の名前は呪いの言葉なんかじゃない」
「名が運命を背負うのは道理だ」
「どうしてそんなに悲しいことを言う。君のせいじゃない。君が背負うことはない」
「じゃあいいのか。これから先もたくさんの命が犠牲になるんだぜ。俺が生きてる限り、ずっとだ」
「冬夜…」
「…………生きていいはずがない。罪を犯した人間は、裁かれなくちゃ」
 一度俯いた顔は、だが再び向き合う頃には強い意思で覆われていた。
「……俺を殺して、キリエ」
「な…っ」
 口にされた思い掛けない言葉。そして最も恐れていたもの。
「スレイヤーだから出来るだろう」
「嫌だ! 君を失いたくない」
「うぅん、俺には殺されるだけの理由がある。もうこれ以上誰も傷付けたくないんだ」
「ダメだ! 誰が何と言おうと君は死なせない!」
 そう言って抱き締めて。言葉を封じるために唇を塞いで。
 ふたりともに同じ想いを抱え、腕に力を込めることしか出来なかった。

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互いが何より大切で、そのために自らの命を絶つと訴える。
悲しくも愛しいこのふたつの魂を救うために完結まで頑張ります。

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cross #36 に続く