Monthly archives

 2008年03月 

message(バトン) 

back

こんばんは、messageではお久しぶりです。れんです。

ここんとこ仕事があまりに忙し過ぎて、
毎日家に帰るのが23時、それから更新書いてアップするのが24時、
という生活を続けていたら、さすがにガタがきております。
もう若くないわねぇ……(@_@) ←10年前に言ってもおかしくない台詞。
ちなみに明日は会社でTOEIC。もう死ぬからー!(涙)

そんなこんなで生き急いでおりますが、
思いがけず嬉しいことがあって心拍数も鰻登り!
両方ともバトン絡みの話です。
よろしければ「続きを読む」からお付き合いくださいませね(^-^)

 

続きを読む

seek #46 

←前話へ

 夜明け前。
 まだ明けやらぬ窓の向こうには闇がうっすらと墨を引く。冷たい空気に肩を震わせながらトロトロとした眠りに漂い、瞼の裏、乳白色の光を追う。一度離れたと思ったぬくもりは、しばらくして傍らに腰を下ろした。
「……ん、」
「まだ寝ていてもいいですよ」
 穏やかな声。掠れる語尾。
 まるで日溜まりの猫を撫でるように柔らかな手付きで髪を梳く、その仕草に一夏は知らず頬を緩めた。
「こうされるのは好きですか」
「うん。……気持ちいい」
 瞼も開けないまま首だけ傾げる。こうしていると本当に小さな猫になった気がして、穏やかな安心感に包み込まれるのが分かった。
「ねぇ、イチカ。もう日付を越えましたから、言ってもいいですか」
「なぁに?」
「お誕生日、おめでとうございます」
「…………今日?」
 思わずガバッと身を起こす。今更自分の誕生日を大騒ぎするほど子供ではないにせよ、最近のドタバタにすっかり追い遣られていたというのも少し寂しい。
「やっぱり忘れていたんですねぇ。もう3月5日ですよ」
 くすくすと笑いながら、氷堂は飛び起きた恋人にモーニングキスを贈る。それはほんのり温かくて、ベルベッドのような感触だった。
「そっか…。うーん、まるっきり頭から飛んでた……」
「ここ最近忙しかったですしね。イチカも無事卒業出来て本当によかったです」
「なんかちょっと引っかかるんだけど」
「誰ですか、最後まで単位取れないかも知れないとか言って泣きついてきたのは。あなたの〆切を延ばすために私がどれだけ奔走したか……」
「あーあーあー。ごめんなさい。神様仏様担当様〜〜」
 拝むように両手を合わせてみせる作家を前に、敏腕担当は苦笑を堪える。
「はいはい、大丈夫ですよ。……それに、これでいよいよ学生ではなくなるわけで」
「うん、ちょっと緊張するな」
「もう邪魔な要素は皆無という認識ですが」
「は?」
「学生結婚、憧れてました?」
「何のこと!!?」
「これを……」
 そう言って差し出されたのは四角い箱。掌にちょこんと乗るほどの大きさの、どこからどう見てもいわゆる、それ。
「開けてください」
 手渡され、思わず氷堂の顔を仰ぎ見る。どうしていいのか分からないほど心臓がドキドキ鳴り出したのは、きっとこの先を知っているから。
「……どうしよう、俺、なんか凄い緊張する……」
「ゆっくりでいいですよ。大丈夫」
 震える指先で留め金を外し、そっと蓋を持ち上げると案の定、指輪が2本収まっていた。
「……ホントに?」
「小さい方を、あなたに」
 そう言って氷堂は片方のリングを抜き取ると、改めて恋人に向き直る。
「イチカ。あなたをずっと愛する証に、これを」
「……凄い、今更だけど……その、本当に俺でいいの?」
「あなたじゃなきゃダメなんです」
 真っ直ぐな瞳。濁りのない眼差し。それがどんなにリスキーなものかも嫌というほど分かっていて、それでも。
「……分かった。俺に、受け取らせて」
 左手の薬指に嵌る、細い銀の指輪。燻し加工の施された緩やかな曲線のデザインが一夏の指によく似合った。
「内側にブルーサファイアを入れているんですよ」
 じっと左手を見つめる一夏を抱き寄せながら氷堂が続ける。
「結婚式のサムシング・フォーといって、昔から結婚の時に4つのものを持っていると幸せになれるというおまじないがあるんです。そのうちのひとつがサムシング・ブルー。こうして指輪に宝石を入れるケースも多いそうです」
「そうなんだ…」
「それに、ブルーサファイア自体があなたの誕生石でもありますからね」
 あなたが一生幸せで、守られますように。
 囁きながら薬指にくちづけを落とす仕草が誓いの儀式のようで、一夏はぐっと唇を噛んだ。
「氷堂、さん……」
 相手の名を呼ぶのだけれど、胸が一杯で言葉が出ない。本当に嬉しい時人は無口になることを知った。
「……上手い、言葉が……見つからないんだけど」
「はい」
「伝えたいことがこんなにあるのに、なんにも出てこないんだけど」
「はい」
「………ありがとう。凄く、嬉しい……」
「……はい」
 一粒の涙が零れた瞬間、逞しい腕に抱き寄せられる。夢中で縋り付いた先、肩口に回す薬指に光る指輪。知らなかった、こんな幸せな気持ちになれるなんて。
「イチカ、私にも填めてもらえますか」
 もう片方のリングを取り出し、覚束ない仕草で指を通す。お揃いのそれはスタイリッシュな氷堂の指にもすっと馴染んだ。
「……俺が、氷堂さんを幸せにする」
 思わず口を突いて出た言葉。音になった瞬間強い実感として胸に響いた。
「イチカ…」
 そっとそっと、唇を重ねる。
 カーテン越しの暁の光が祝福するようにふたりを包んだ。

----------
ついにきました指輪交換。ラブコメの触れ込みはドコ行った……(@_@)
誕生石をいいのにしたくて、2時間かけて3月全部を調べまくりました。
3月5日なら前日卒業式(平日)できるし、何よりブルーサファイアだし。

ちなみに3月の石はアクアマリンですが、
3月5日の誕生石がブルーサファイア。幸せ者だな、イチカ(^-^)

お気に召しましたら「BL小説」バナー↓をクリックしていただけると嬉しいです♪

seek #47 に続く