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 2008年05月 

seasons #06 

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 恋は人を幸せにする───そんな言葉を噛み締めながら巧矢は詰め所を後にした。
 心なしか空気が桃色に見える。世界中の人に親切にしてあげたい。
 脳が沸点に達したとしか思えない思考で頭を一杯にしながら家に帰るなり、とにかく報告をと携帯電話を取り出した。気の毒な相手はかつての先輩、今となってはノロケ相手の一条である。
「おー、巧矢か。どした」
 いつもの口調で電話口に出た彼はこの後猛烈に後悔することになるのだが、原因の輩はそんなことなどお構いなしに一気に捲し立てた。
「ちょっと聞いてくださいよー!」
「うわ、のっけからそのテンション。ヤベーな……」
「そうなんスよ。ヤバイんです。ヤバイほど素敵なんです!」
「あのな、順を追って話せ……?」
 やや逃げ腰の相手に対し、既にスタートダッシュから勢いよくトップスピードへとかっ飛ばす巧矢は留まるところを知らない。掻い摘んで今日の出来事を説明しつつ、時折だらしなくヘラリと顔を歪ませる。安曇に両親がいないことは何となく割愛しつつ、とにかく憧れの君と話せたことを強調した。
「へぇ。そんで、おまえは仕事もないのに店に行ったと」
「事前のリサーチこそが次のビジネスに繋がるんスよ!」
「よく言ったもんだな、オイ。これまで聞いたこともなかったじゃねーの」
「フフ。一条さん、俺は生まれ変わったんスよ」
「この際生まれ直してみたら?」
 だが浮かれた相手には嫌味すら通じない。
「もーね、超かわいいんですって。気を付けてなーとか言ってくれちゃって!」
「そら社交辞令だろ」
「あの美貌で関西弁っていうギャップがまた堪りませんよね!」
「ただ出身なだけだろが」
「どうしよう、俺、いずれそのうち大阪に住むかも知れません。俺に付いて来い、なーんて言われちゃったら断れませんよ!?」
「ない。それはない。安心しろ」
「そしたらふたりで花屋を続けるんです。俺が仕入れて、あの人が売って……」
「逆の方が接客向いてんじゃね?」
 膨らむ妄想を叩き落としつつ、一条は鋭いツッコミ。
「ところでおまえ、花とか分かんの?」
「……え。そんなまたまた無茶難題を」
「おまえにカサブランカとデンファレの区別が付くとも思えねーが」
「なんで一条さんがそんなの知ってるんスか」
 間違いなく俺と同レベルなはずなのに、という大層失礼なコメントを超寛大な心で無視しつつ、今度会ったら一発殴ると拳を握り、一条は言葉を続けた。
「嫁のウェディングブーケだよ。どっちにするかでえらいモメたからな……。花にウン万も掛ける女の気が知れねーよ」
「いろいろあるんスねぇ。奥深くて難しそう……」
「だろ? それをおまえに出来んの?」
 一瞬答えに詰まったが、脳裏に焼き付いた安曇の笑顔が巧矢の背中を後押しする。
「やりますよ。あの人に続いてる道ッスからね、やる気が漲っちゃって俺居ても立ってもいられません!」
「あー暑苦しい!」
「取りあえず花の勉強始めます。まずは実物と名前が一致するように図鑑見て覚えます」
「そうかそうか。まぁ頑張れよ……」
 もはや虫の息状態の一条に代わり、後輩はひとりで元気一杯。
 一抹の不安を残しつつ、巧矢の奮闘が始まった。

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すいません! アップ間違えました!!!(マジ正座)
先に#07上がってましたが差し替えます〜〜読んだ方は忘れて〜〜(T-T)

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seasons #07 に続く