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 2008年05月 

seasons #14 

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 それから暫く脇目も振らずに重い荷物と格闘していた巧矢だが、ふと顔を上げた先、真剣な表情の横顔が目に入った。
 ふたりで等分しても大掃除レベルの片付け。その大半が重量のある荷物の移動である。普段から運送業を生業としている自分ならともかく、安曇には些か荷が重い。それでも泣き言ひとつ言わず黙々と作業を続けているのは自分が頼んだ手前か、それとも意地か。
 恐らく、後半なんだろうな……。
 短い付き合いながら安曇が巧矢を理解するように、巧矢もまた安曇を分かり掛けていた。
 他人にも厳しいが、それ以上に自分に厳しくあろうとする人。その直向きさは彼の魅力であり、危うさであり、全部引っくるめていいところなのだけれど───こんな時はもっと素直に自分に頼って欲しいと思ってしまう。
 元々線が細いくせに、やれば出来るとばかり過剰な力仕事をしようとするものだから、要所要所で足下がフラ付いている。それを悟られまいと歯を食い縛って続投しようとするのを見て、巧矢は思わず腕を伸ばした。
「わ、」
「……危なかった」
 頭上の棚に上げようとしていた荷物がもう少しで横滑りするところだった。後ろから奪うようにそれを押し遣り、改めて向き直ると、横槍を入れられたのが気に食わないのか安曇はプイ、と視線を反らす。
「俺はえぇから……そっち頼む」
「終わりましたよ。ついでにこれも上げちゃいますから」
「えぇって。俺やるから」
「……安曇さん、無理してる」
 つい、零れた本音。
 隠していた胸懐を言い当てられたせいで一瞬表情を歪めた安曇は、半ば自棄気味に荷物に手を伸ばし、
「うわっ!」
 無理な体勢からバランスを崩し、壁に手を突いて身体を支えたものの慣性の法則にまでは逆らえず。あろうことか折り畳んであった段ボール箱の束をブチ撒けるという派手なパフォーマンスを演じて見せた。
「あー……最悪。ごめんな、折角やっといてくれたのに……」
「いえ、俺の言い方が悪かったから……」
 ゆるゆると視線を合わせ、顔を見合わせ。その途端どちらからともなく苦笑が漏れる。先程のピリピリとした空気は既になく、可笑しいのと照れくさいのとで眉を下げるしかなかった。
「俺ね、こーいうの得意なんスよ」
 雰囲気を読み、先に口を開いたのは巧矢だった。
「友達の引っ越し手伝った時にそのまま今のバイトにスカウトされちゃったぐらい。……なんだろ、荷物の片付けとか、引っ越しとか、『遣り遂げたー!』って感じするじゃないスか。あれがね、凄い好き」
 無性にスカッとしますよね!と笑うのにつられ、安曇もまた穏やかな表情になってゆく。
「……て、俺ばっかベラベラ喋ってすいません」
「いや、えぇよ」
 今更やん、と返せば唇を突き出す仕草が返る。
「おまえの話、もっと聞きたい」
「……安曇さん?」
「おまえおもろいもん」
「そ、そうスか?」
 なんだこれ。なんだこの人。なんでこんなにストレート!?
 まさに直球勝負で来た相手に対し、そんなこと想定の範囲外とばかり急にドキドキし始めた巧矢はあっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロで落ち着かない。右往左往する視線の端、だが目に入った段ボールの海を認識するや否や、現実に戻った脳は急にその働きを再開した。
「取りあえず、先にココ片付けちゃいましょっか」
 そう言うなり手を伸ばしたかと思うと、巧矢は安曇をお姫様だっこで抱え上げる。
「な、なにしてん!」
「だって安曇さんフラフラじゃないスか。……ダーメ、隠しても俺には分かるんです。だから安全なトコまで運ばせてください」
 それに暴れる方が危ないんですからね。
 問答無用で釘を刺してくる輩相手に安曇はどうにでもなれと白旗を。
「……恥ずかしいヤツ」
 これが世に言う密室事件。

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ワンコ、我を忘れると超積極的です。飼い主にも制御不能。おすわり!
いやぁ…年下攻めの醍醐味を書きながら肌で実感中ですわ。萌える〜〜(笑)

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seasons #15 に続く