seasons #22
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頭が真っ白になる、というのはこういう状態を指すのだろう───
間違いなく人生最大の危機に直面し、もはや緊張さえ通り越した次元の青年は直立不動のままフリーズした。
この人、今なんて言った? 俺の聞き間違い? いくらなんでもそんな鋭過ぎるツッコミって関西人だからとかそういう理由で出来るもんなの? ていうか近くね? なんか近付いて来てね? え? なに? ちょっと、安曇さん、近いよ? すげー近いよ???
「巧矢」
「は、はいっ」
「おまえ頭ん中で考えてること全部口に出てる」
「ギャー!」
慌てて両手で口を押さえるものの、過去は二度と戻らないのだ。加えて言うなら現実を直視することにもなり。
「あ、安曇さん、あの……」
「なん?」
「も、もーちょっとでくっついちゃうんスけど……」
「そんで?」
「そんで、って、だから、えーと……」
ふたりの身長差は11cm。普通にしていれば唇が触れることはない。だが今及び腰の巧矢は安曇に胸元を引き寄せられ、接近を余儀なくされている。今更のようにドキドキと高鳴る鼓動は間違いなくその掌越しに伝わっているだろう。それを思うと余計に気恥ずかしさが募った。
「……巧矢、さっきの、どうなん?」
あぁ、目の前には極上の笑み。もともと表情豊かではないこの人がここ最近見せるようになったうちでも、とびきり上等の部類に入る。
ごくり、喉が鳴る。
じわり、汗が滲む。
見返した瞳は静かに透き通っていて、これが揶揄いなのではないと物語るから、巧矢は思い切って覚悟を決めた。
「安曇さん……」
姿勢を正し、真正面から。
「俺、安曇さんが好きです」
口にした瞬間、身体中が小さく震えた。想いは言霊となり今まで以上に気持ちが溢れる。居ても立っても居られなくて、余すところなく全部伝えたくて、嬉しさと照れくささで顔を真っ赤にしながら巧矢は改めて口を開いた。
「よかった、言えて……。まさか聞いてもらえる日が来るなんて思わなかったから、今凄ェ嬉しいッス」
好きだと自覚したその時から、想いはずっと積み重なってきた。それを相手に伝えることが出来るなんて、こんなに素敵なことはない。
「安曇さん、好き。大好き」
「……なんや、歯止め効かんくなったか」
嬉しくて堪らないとばかり満面の笑みを浮かべる巧矢を前に、まんざらでもない表情の安曇はニヤリと頬を持ち上げる。
「だっていっぱい言いたいッスよ。今までの分全部じゃなきゃ」
「そらー愛されたモンやなぁ。……ま、おまえは分かりやすかったけどな」
「ゲッ 気付いてました!?」
「分からん方が鈍くさいわ」
そう言って、ピ、と人差し指を立てて見せた家主は、あろうことかそれを巧矢の唇に当てる。
「ほんなら、俺とキスしたいねんな?」
「───!」
「仰け反るっちゅーことはいらんのか」
「んなワケないでしょ! びっくりしたんスよ!」
「ハハ。やっぱおまえかわえぇなァ」
「……っ」
あぁもう耳まで熱い。恥ずかしいことこの上ない。
真っ赤になった犬におすわりを言いつけた主人は、あろうことかそのまま顔を近付けて。巧矢の唇に当てていた右手の人差し指の上、掠めるようなキスを贈った。
「───!!!」
唇の端、漏れる吐息。
柔らかな弾力の余韻を残して。
「……続き、するか?」
扇状のデビルスマイルが理性を木っ端微塵に打ち砕いた。
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なんか安曇ちゃんがえらいことになってきましたが、ご愛敬で(^-^;)
攻めにかわいいかわいい言う受けというのも新鮮です。ホホホ。
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seasons #23 に続く
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