message(1周年記念祭)
[.life] へようこそ、れんです。
当ブログもおかげさまで開設1周年を迎えることが出来ました。
これも日頃遊びに来てくださる方、
メッセージや拍手等で励ましてくださる方あってのことと、
この場を借りまして深く御礼申し上げます。
皆様への感謝の気持ちを込めまして、ささやかながら
[.life] 開設1周年記念祭を開催させていただきたいと思います。
通常更新の他、読み切りSSやセリフSSなど、
いろんなジャンルをちょっとずつのアラカルトです。
簡単な紹介も付けましたので、ご参考にしていただき、
お付き合いいただければ嬉しいです。
これからも [.life] をどうぞよろしくお願いいたしますv(^-^)v
『seasons #40』
ワンコ×ツンデレのシリーズ最新作です。
今日は『sign』のコウ&渉も友情出演中。
『cherry』
常磐高校生徒会シリーズのセリフSS。
記念日ならではのイチャイチャぶりです(当社比)
『butterfly』
モノローグっぽい感じの実験的作品。読み切りです。
好みは分かれそうだなぁ……。おまけとしてどうぞ。
『ai』
こちらも閉鎖的な雰囲気の実験的作品。読み切りです。
日本語の異口同音あそび。
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seasons #40
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それが初めての出会いだと言って誰が信じるだろうか。
見事コウと意気投合した巧矢は、一旦詰め所に戻って退勤処理を済ませるなり、再びトンボ帰りで ships に戻る。今度は配達員としてではなく、ひとりの客として初ゲイバー体験を果たすべくの参戦である。
「お疲れさまー! ささ、座って座って」
ドアを開けるや否や飛んでくるコウの陽気な声。一瞬にしてジャズの洪水に巻き込まれ、漂う甘い香りに身体の芯がジン、と痺れた。……あぁ、カサブランカだ。
「綺麗ッスね」
「なーに、それ、ノロケ?」
くすくす笑いながらコウは悪戯っぽい目で見上げてくる。いつもなら「それってアタシのこと?」とでも揶揄うセリフも、巧矢の想い人の話を聞いてからでは応対が違う。seasons の花を褒めることはつまり安曇への賛辞であって、この場合愛の告白なのだ。本人はいないが。
「ホラホラ、こっち来て。取っておきの席空けておいたんだからっ」
手招きに導かれるまま、巧矢はカウンターに居場所を取る。
初めての雰囲気。初めての店。
安い居酒屋の飲み放題にしか参加したことのない苦学生にとって、一杯いくらするのかプライスリストすらないバーになど、恐くて踏み込んだ試しもない。その上、男性専用の社交場とあっては緊張するなという方が無理な話。コウと知り合いになっていなければ、恐らく一生縁を持たなかっただろう。
オーダーをすることも忘れ周囲に気を取られていると、コウがカウンターの中でにっこりと笑った。
「……緊張する?」
「そりゃしますよ。どうしていいかもよく分かんないし、それに……その、俺、そーいう方じゃないし……」
語尾を濁す様に初々しさすら感じ、コウの目がキラリと閃く。
「あら。別に同性愛者だけが来るわけじゃないのよ」
「でも多いんじゃないスか? 出会いを求めて、とか……」
「まぁ、そういう人もいるけどねー。でも大体にして店の広さが問題よ」
だって10人も入ったら一杯だもの、としみじみ呟くコウの言葉には妙な説得力がある。確かにこの少人数の中から相手を選ぼうというのは至難の業だろう。
「俺ね、安曇さんだから好きになって、彼がたまたま男だったんです。だから、えーと、なんていうんスかね……生粋のゲイじゃないっていうか」
「あっはっは! 生粋ね! そんなこと気にしてたの?」
やだもーかわいいんだからー、とシナを作る様子にさすがの巧矢も吹き出して笑う。一気に緊張が緩んだところで、新しい来客が扉を開けた。
「渉!」
「やぁ、お疲れさん。早めに片付いたから来たよ」
常連なのかと目を向けた先、ふたりの遣り取りに巧矢は度肝を抜かれた。
カウンターから両手を伸ばしたコウは軽いハグに留まらず、客の目の前で熱いキスさえ交わしてみせる。至近距離で繰り広げられるラブシーンに見事フリーズした巧矢は、隣に腰を下ろした男性に自己紹介をされ、そこでようやく我に返った。
「悪かったね、驚かせてしまって」
「いいいえ、その、あの、えっと……」
「ふふふ。あのね、巧ちゃん今日がゲイバーデビューなのよ。つい最近ノンケさんからの転向組」
「それじゃ僕と同じだ。コウに変なこと言われなかったかい?」
「ちょっと、それどーいう意味よー?」
アタシ口説いたりしてないもん、と唇を尖らすバーテンダーに緩く微笑むと、カメラマンだという彼はその手の甲に唇を寄せる。
「君が口説くのは僕だけだろう?」
「ん。勿論」
ふたりだけの甘いムードもなんのその、出会い頭にショッキングな場面を目撃していれば大抵のことは乗り切れる。巧矢は今や、これが目指すべき将来像なのだと熱く拳を握るまでに回復していた。さすが大型犬体質、転んでもめげないように出来ている。
「あ、そういえば渉さん、今日もお仕事だったんスよね。それってカメラケースですか?」
「あぁ。興味ある?」
取り出した一眼レフを構える姿はさすがプロだけあってサマになる。それをうっとり見つめる者、別の意味で目を輝かせる者。
「やっぱ本物はカッコイイッスねー! どこのカメラですか? ライカ? うーん、やっぱいいな〜〜」
「へぇ。ライカが分かるなんて写真が趣味?」
「いえいえ、俺はポケットサイズのデジカメ専門ッス。写真はやってみたかったことのうちのひとつなんですけど、なにせそのやりたいことが多くって……」
照れ笑いを浮かべる素直な青年に、熟年カップルは揃って頬を持ち上げた。
「そこが君のいいところなんだろうな」
「いつかやってみたいです。ずっと憧れてたんで」
「ふふ……そう言ってくれると嬉しいね」
大事そうにカメラをケースに仕舞うと、渉は改めて巧矢に向き直った。手には一枚の名刺を持って。
「これ……」
そこには渉の連絡先。フリーカメラマンという肩書きが眩しかった。
「将来の仲間を歓迎したいから。……何か記念があったらスタジオにおいで。撮ってあげるよ」
「ホントッスか!? うわ、ありがとうございますっ」
「ハイハイ、ふたりとも白熱してるトコ悪いんだけど、オーダーちょうだいな」
「あ、すいません……」
かくして、濃密な一夜が幕を開けた。
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1周年記念日に渉が久しぶりの登場となりました。オイシイな……(笑)
こうして過去の遺産を掘り起こしたり出来るのも連載の醍醐味ですねぇ。
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seasons #41 に続く
message(1周年記念祭:読み切りSS)
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『butterfly』
彼に最初に会ったのがいつだったのかなんて、もう忘れてしまった。
抜けるように白い肌、毛先に癖の掛かった黒い髪。人目を引くような長身を持て余すことなくヒラヒラと人波を飛んで行く姿はまるで蝶のようで。身体にぴったりと吸い付く革のパンツとタートルネック、ベルトのバックルだけが妙に浮き出て見える。視線を避けるように全身を黒で固めた彼はさながら夜を舞う黒い蝶だった。
アゲハ。
そういえば、名前も聞いたことがなかった。
俺がそう呼ぶと彼は嬉しそうに笑い、気に入ったと言った。にっこりと屈託のない笑みは綺麗で、だからこそ腹の底で抱えているであろうドロドロとしたマグマを感じずにはいられない。
勘が鋭いね。
警戒する俺に向かってアゲハは笑う。
あくまで笑みを絶やさず、その表情からは考えていることが読めない。訓練されている人間特有の匂いがする。そしてそれに気付くだけの材料を手元に揃えていることからも、相手には俺が何者であるか分かるだろう。
手の内を見せた方が負け。
けれど相手を探るためには懐に入れることも必要。
一見相反する葛藤は、実は裏を返せばこの世で生きていくための、案外普遍的なルールなのかも知れない。だからこそ俺達は互いを探りながら恋に落ちるなんて器用な真似をやってのける。
何考えてんの?
情事の後、決まって煙草を吸っている時に彼はそう聞く。
何も、とか、別に、なんて曖昧な答えを期待してわざとタイミングを見計らっているのだ。返らないだろう本質も、それ以外にある雑念も、もう何と引き替えに手に入れたら良いのか分からなくなっている俺達の居場所を確かめるように。───鋭いのはおまえの方だ。
どこかに行こうか。
誰も探さない遠くに、ふたりで。
そう言うと彼は可笑しそうにくすくす笑い、それきり口を噤んだ。白い肩口が月光に照らされ、輪郭が夜の海の如くキラキラと光る。幻のようだと呟いた瞬間、この続きを知っている気がした。それは記憶に埋め込まれたプログラム。或いは海馬から抜き取られたデジャヴ。
そして繰り返す朝。
目を覚ますと彼の姿はなかった。
何ひとつ痕跡を残さない手口に、もしかしたら長い夢をみていたのかも知れないと幸せな騙され方をしてみるのだけれど、枕元、鱗粉のいう名の残り香にじわりとした痛みを覚え。
愛してる。
叶わないからこそ意味があるもの。
どうしようもない矛盾を抱え、互いの存在の危うさにすら惹かれ合った、そんな人間としての曖昧さに穏やかな笑みが込み上げる。そしてそれは鏡の中、喉元に散る蝶の形の所有印により一層の深みを増して。
捕まえてやる。
同じ場所に入れたタトゥーは彼のような黒い蝶。
どちらが互いを捕まえたのか、今となっては永遠の謎。
end.
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何も考えずに書き出したらホント思い掛けないものが出来ました(@_@)
タイトルには萌えたんだけどなぁ……。何かのリハビリとでも思ってください。
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