seasons #48
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パタリ、と薄い扉が閉まる音。
後ろ手にドアを引いた巧矢は、相手が落ち着くのを待ってゆっくりと口を開いた。
「驚かせちゃってごめんなさい。……これから言うことは100%俺の本心だから、もし安曇さんが嫌だと思ったり、本当にいいと思えなければ、断ってね」
あまりに真剣な表情。
屈託のない普段の笑みからは想像も出来ないほど。後から思えば緊張していたのだと分かるのだろうけれど、同じだけ神経を張り詰めている安曇は頷くことさえ出来なかった。
「安曇さん……」
そっと歩み寄り、真正面から。
「大野巧矢は、友坂安曇を愛しています。世界中の誰よりも」
ずっと、永遠に───。
噛み締めるように続く声に、安曇は胸が一杯になるのを感じていた。だって知らなかった。こんなにも簡単に心の氷が溶けるなんて。頑なに閉じていた殻が壊れるなんて。
けれど心の奥に光が届くと同時に思い当たる、それは影。
「あの子は……?」
小さく訝る声に巧矢が首を傾げる。本当は有耶無耶なままにしておきたかったけれど、疑心暗鬼に駆られたまま恋愛なんて出来なかった。
「この前、街で見掛けた。一緒に歩いてた。凄い……仲良さそうやった」
「違います」
それは間髪入れぬ否定。
「……もしかして、それずっと気にしてました?」
だから様子おかしかったんだ、と呟く声。気付いていたのかと思う間もなく抱き寄せられる肩。
「ごめん。安曇さん、ごめんなさい。違うんです。大学の同期です。俺がうっかりレポート出し忘れちゃって、単位落としそうになってたから、慌てて参考図書見繕ってもらって……」
「俺が悩んだんはそんなアホな理由なんか」
「う……返す言葉もないッス……」
しゅんと萎れる大型犬に、次第にいつものテンポを取り戻した安曇は顔を上げた。
「じゃあ、さっきのは……」
「前話した、コウさんの彼氏さん」
ships で会った時に妙に意気投合しちゃって、とニンマリ笑う様は既に策士の顔。楽しそうに話すのを見上げながら徐々に晴れて行く雲。
「フリーカメラマンで、記念があったら撮ってあげるからおいでって言ってもらってたんスよ。だから、ちょうどいいかなと思って」
「記念…?」
首を傾げた拍子に零れた涙に伸ばされた手に指先を絡ませる。それをギュッと握ると、巧矢はもう一度静かに告げた。
「これからも、ずっと一緒にいさせてください」
伝わる温度は泣きたいくらいに優しい。
「俺が全力で幸せにします。……約束します」
声が上擦っているのさえ愛しいと思った。
逸る心。早鐘の鼓動。こんなドキドキは知らない。こんな喜びは知らない。
「それ……なんていうか……」
「プロポーズです」
「本気か」
「本気です」
「俺でえぇのか」
「安曇さんじゃなきゃダメなんです」
何もかも見透かしたように頷く力強い瞳。実直なまでの眼差しに根負けした安曇が笑う。それはそれは綺麗な顔で。
「……強情なヤツやなぁ」
そうして目を細めて。喜びの涙を噛み締めて。
厳かなくちづけがふたりの新しい一歩を照らしていた。
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ようやく! ようやくここまで来ましたよ〜〜〜!(>_<)
たくさんご心配おかけしましたが、後は幸せに向かって突っ走りますvvv
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seasons #49 に続く
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