limit #19 

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episode: 2008/12/26 -1-

 身体を繋いで、寂しいと思うなんて想像もしなかった。
 小雪が舞う空を見上げ、颯はひとり眉を潜める。およそこれまで経験のなかった事態に次の一手が見え兼ねていた。
 進退窮まるとはまさにこのこと。
 自他共に認める自由人の颯は、自分に正直に生きることでバランスを保っていた。ムリをすればすぐにボロが出る。歪みは大きな傷になる。それが分かっているからこそ、恋人に嘘は吐きたくなかったし、自分を誤魔化そうともしたくなかった。
 それなのに。
「……なんだよ、これ……」
 昨日から続くモヤモヤとした気持ち。
 はじめはうっすらと霞が掛かるようだった不安は、今や分厚い雲となり心をすっぽりと覆っている。その主たる原因を特定することは出来ても、解決へと続く道は途中からぼんやりしていた。
「あいつが、あんなこと言うから……」

 そーいうんじゃねぇだろ。

 あの時、自分は何を言い掛けたのか。そして彼は、そこに何を悟ったのか。
 触れ合った分だけ愛着が湧き、抱き合った分だけ愛情を増す自分。重ねる肌のぬくもりに溶かされるまま、愛を囁こうとしていたのかも知れない。おまえが好きだ、愛している、と。
「でも……違うんだよ、な……」
 これは恋じゃない。本物の恋じゃない。ゴッコで始めたただの遊びなのだ。
「何やってんだよ、俺……」
 今更のように唇を噛む。こんなことになるなんて思いもしなかった。
 それは、最初から終わりが決められている遊び。
 ゴールに辿り着いた時点で自分達は互いに背を向けて、それぞれの道を歩かなければならない。そこに至るまで何を為すわけでもなく、ただ同じ時を共有し、時に笑い、くちづけをかわして生きているだけ。心の移り変わりなど始めから介入する隙はなかった。どちらかが恋に落ちるなど想定さえしていなかったのだ。
 だとしたら、この異常な事態は自分だけのもの。
 だって彼は止めたのだ、自分の告白でこの関係が崩れるのを。
「こんなの、ただのバカじゃねーか……」
 今ならハッキリ自覚する、どれだけ好きになっていたのか。曲者たる由縁の妖しい笑みも、本質を見抜く鋭い視線も、彼を構成するすべてに自分は恋に落ちたのだ。
 けれど、告げることを許されない。土台、今更好きだと言ったところで、恋愛ゴッコの渦中では何の効力も有りはしないのだ。
「やっと、気付いたのに…………」
 白く吐き出した息が頭上に舞い上がってゆく。
 それを目で追い掛けながら、灰色の空、雪の冷たさに奥歯を噛んだ。

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ここからは再びお悩みまっしぐら。ゴッコで始まって、身体が繋がって、
心だけが置き去りになってる恋は辛いですねぇ(T-T)

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limit #20 に続く

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