trust-2 #21
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ふたりの距離は瞬く間に縮まっていった。
坂道を転がる石のように、当人でさえスピードを緩める術を持たない。引き合う力はまるで地球の引力そのものだった。
もっと知りたい。もっと知って欲しい。
そんな単純明快な望みは、やがて深く激しい欲望に変わる。
彼に触れたい。声を聞きたい。笑顔を独り占めして、涙が零れるのを見たい。熱を与え、熱を奪い、何もかもさらけ出してひとつになりたい───。
「……俺、おかしいのかな……」
裕哉にとって信司は、共に困難を乗り越えてきた同士、腹を割って話せる大切な仲間というだけでなく、いつの間にかすべてを共有したい相手になりつつあった。だが同時に、気持ちが育てば育つほど困惑までも広がってゆく。こんなに誰かに執着するのは生まれて初めてだった。だからこそ加減が分からない。強過ぎる気持ちにこれが友情なのか愛情なのか判別することも出来なかった。
ぼんやりと意識を飛ばした裕哉を呼ぶ声にハッと顔を上げる。
「あ、すいません」
これから手術予定の患者を中央手術室へ搬送する道すがら、ナースステーションに寄った看護師が戻って来たのだ。
大きな封筒の束をふたつ抱えた彼女を先に通し、患者専用の大型エレベータに乗り込む。壁側にストレッチャーを寄せ、固定すると、その場で手短な伝達を。差し出されたカルテに軽く目を通していたその時、聞き覚えのある声に意識が削がれた。
「すまない、詰められるか」
「都筑さん……」
車椅子を押しながら後ろ向きに乗り込んでくるその人こそ、つい先程まで脳裏に描いていた本人に違いなく、裕哉はささやかな罪悪感に床に目を泳がせた。
ストレッチャーと車椅子、そしてそれを取り囲むように医師団が詰め込まれたエレベータ。
当然、互いの間に隙間があるはずもなく、一番奥に陣取った裕哉のすぐ手前、僅かに白衣の裾が触れ合うほどの距離に信司が立っている。こうして並ぶと思っていた以上に身長差があることに気付き、それがまた裕哉を煽った。
「……っ」
後輩が必死に動揺を押し隠していることなど知らず、信司は僅かに振り返ってみせる。
「これからオペか」
「あ……はい。藤谷部長の執刀です」
「そうか」
答える声が震えないように、遅れないように、ただそれだけに神経を尖らせる。
「都筑さんは?」
「レントゲンだ。技師に話がある」
それなら君達の方が先に降りるな、と言い掛けたその時。僅かな揺れに足下を掬われる。
「わっ ……大丈夫スか?」
「あぁ。すまない」
後ろから支えた、ほんの一瞬。
鼻孔を擽る石けんの香り、腕に感じた白衣越しの熱に胸の奥がズクリと鳴った。心臓は早鐘のように打ち、血が一気に逆流する。激しい目眩と戦いながらも、裕哉は遂に気付いてしまった───自分が求めているのはこれなのだと。
初めて、その肉体を意識した瞬間。
信司という人間の内面を越えて、魂の器、熱そのものへ。
フォーカスは絞られた。標的にロックオンが完了する。
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これまでのほのぼのとした遣り取りから、徐々に欲望が入り交じり始めます。
明日は部分的にR指定が入りますのでお気をつけくださいませ(^-^;)
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trust-2 #22に続く
コメント
ロックオン!
うひゃ♪
ロックオンしちゃいましたね!!
うっわ〜〜ドキドキする・・・。
ワンコのドキドキが伝わってきて、なんだかモジモジしちゃってる柚子季です(笑)
信司さんの方はどうなんでしょ?
うっわ〜〜楽しみ!
えっ…Σ( ̄ロ ̄lll)
ご無沙汰しております。コメントは久々ですが毎日ちゃんとお邪魔してます(-_-;)
っていうか、裕哉くんっ!今までのラブラブ光線入りまくりの発言は無自覚かいっヾ(・・;) いやいや…だからこそロックオンされたら逃げられんのでしょう。がんばれ裕哉、猪突猛進だぁっ。
コメントありがとうございました♪
毎度お返事遅くなってしまってゴメンナサイm(_ _;)m
レスポンスよくお返し出来なくて心苦しいですが、
いただくメッセージは物凄く励みになっております!
これからも見捨てずよしなにしてやってくださいね(-人-)
柚子季さま>
はいはい、ロックオンですよ! 狙い撃ちですよ!
なんつかもう、モジモジし過ぎて尻が痛い!(コラ!)
学生とは違った、ドキドキ感が伝われば嬉しいです♪
もこらさま>
おお、お久しぶりです! お元気ですかー?(^-^)
いつも覗いてくださってありがとうございます。
……て、そうそう、無自覚天然です……。
狙いを定められてる方も気付いてないあたり、
おっとりカップルですねー。ハハハ(^-^;)
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