cross #02
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生温い風が頬をさすってゆく。
既に人影の絶えた午前1時、天空に架かる月は白磁の光を宿す。切れ長の瞳を左右に流したキリエは、闇に溶けるコウモリのごとく身を屈め、常人の域を外れた跳躍力で一気にビルの屋上へと身を翻した。
尋常ならざる潜在能力。
生まれた時から持つ身体性に加え、ターゲットを見抜く洞察力、世界中に広がる情報網が今の彼を後押ししている。
この数百年間に世界情勢は目まぐるしく変わり、愚かな人間達はいくつもの戦争を繰り返して多くの命を犠牲にしてきた。だがそんなことさえお構いなしに、アンダーグランドでは今尚闇を削って生きている輩が徘徊し、確実に次の獲物を狙っている。たとえば、そう───吸血鬼のように。
かつて中世の時代、まだ化学が発達していなかった時勢には、人々は不可解な事象や災いを押し付ける象徴として吸血鬼像を創り上げ、また迷信とされながらも土着信仰として長く信じられてきた。今でこそ伝説上の架空の存在となっているが、それは政治的・宗教的理由による弾圧の産物と呼んでいい。何故なら始祖と呼ばれる純血の吸血鬼は未だ生き長らえ、仲間を増やし続けていることが分かっているからである。
その始祖が見つかったとの情報を受けたのが数日前。
あの時の息が止まりそうになる緊張感が忘れられない。
過去の遺恨から吸血鬼を根絶やしにすることにすべてを賭け、始祖をこの手で抹殺することだけを夢に見てきた。もはや生きる目的は "彼" そのものに擦り変わり、どんな犠牲を払っても足りぬほどその存在を渇望する。吸血鬼を仕留める役目を担う者──ヴァンパイア・スレイヤーとして生きる自分にとってそれだけがすべてであり、それ以上求めるものは何もなかった。
そう、もう何も、失うものなどない。
すべてを奪われてしまったのだから。
大きな月を背に従え、キリエは遠くを見晴るかす。
闇の向こう、面影さえも遠く───。
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この後展開する内容に絡む伏線をあちこちに張り始めました。
これが長編の醍醐味なので、今わくわくしながら書いています。
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cross #03 に続く
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コメント
待ってましたっ!!
スレイヤーの役目としてだけでなく、
なにか因縁がありそうですね♪
そうそう!
伏線を張るのが楽しいよねっ♪
解ります!!ニンマリ
先が楽しみです!
頑張ってくださいませなぁ♪
新連載♪
映画のように、情景が目に浮かびます♪流石ですーー!
伏線!私はとっても鈍感な読者なので、いつも「そうだったのかーーーー!なるほどーーー」と最後に叫ぶ羽目になります♪その分興奮もひとしおなんですがね♪
期待しまくってますので、よろしく御願いします♪
わーわー!
伽羅さま>
そうそう、そうなんですよっ!
因縁がも〜〜〜、深くて深くて
プロットを見返して呆れ果てます(^-^;)
伏線ってどうしてこう楽しいんでしょーか!
「まだネタばらしは出来ないけど、実はね…」
ってニヤけつつ書く感じですよねー♪
いつもお付き合いいただけてホント心強いです。
まさに、エネルギーの源でございますっ!!
(伽羅さんの創作に対する情熱にいつも
圧倒されつつ、よぼよぼと付いていきたい〜)
ありがとうございました!!
きゃー(>_<)
星さま>
映画のように…とのお言葉、身に余る幸せでございますっ!
文章で情景が伝えられたらといつも四苦八苦なのです。
伏線、敷くのも楽しいですけど、敷かれるのもいいですよね!
(なんだか両刀的な爆弾発言ですが…/笑)
私もよそ様のお話で、最後の最後で「そういえばアレって…!」
っていうのを見つけると、うんうん唸って叫んでます。
今回のお話でも、ご期待に沿えるよう頑張りまする♪
PS.
星さまの企画のお話、吸血鬼ネタだったので
時期的に星さまとリンク!? と恐れ多いことを考えつつ
こっそり喜んでしまいました…お許しを……(^-^;)
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