cross #03 

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「……君はもう、生まれ変わったかな」
 ポツリ。夜に呟く。
 かつて想いを通わせた相手も今はない。数百年も経てば輪廻転生するだろうかと、こんな静かな夜はふと思い出を追い掛けてしまう。いつになく落ち着かない気分なのは始祖の発見が報じられたせいだろうと分かっていたが、それゆえに、 "彼" を基軸とした記憶は悲しい過去ばかりを連れて来た。
 瞼に甦るのは中世の街並み。
 繁栄と混乱と渦中にあって、人々は明日を繋ぐことに必死だった。豊穣を願い、戦乱に怯え、流行する病にただ惑うしかなかった時代。現実と架空の境界線が曖昧で、信心深く、真実を突き止めるだけの基盤などありはしなかった。
 そんな時、創り上げられた吸血鬼伝説に、人々はあらゆる理由を押し付け縋った。
 一般に、吸血鬼は一度死んだ人間が何らかの理由により生前の姿のまま不死者として甦ったものとされている。特殊な能力によって霧、狼、或いはコウモリに姿を変え、棺の隙間や小さな穴から抜け出して闇を彷徨い、人や動物の生き血を啜る。血液は生命の根源であり、死者がそれを渇望するのは当然の慣わし。吸血鬼に血を吸われ死んだ者、またその血が体内に入った者はみな吸血鬼となり、始祖から代々続く子孫として更なる仲間を増やし続けた。
 特定の月齢や曜日、キリスト教の祭日等は活動出来ないとされていたが、受け継いだ血の濃さで制限はだいぶ緩くなる。事実、もう始祖から数えて何十代目ともなる末端の吸血鬼ともなれば現代社会に適応する力が強く、他者の血を飲まなくても長らえることが出来る。こうした順応性が彼らを根絶やしにしようとするスレイヤーの動きを鈍らせていた。
「でも、諦めない」
 自らに再度誓うと、キリエは顔を上げる。
 遠く感じる微弱電波は情報屋によるものだ。
 神経を研ぎ澄まし、精神を集中する。脳に直接送られて来る声は時折途切れながらも、だがハッキリと伝えた───始祖の居場所が特定された。

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説明が多くてすみません。このへんの内容も後々活用しますので
もう少しの間だけ舞台設定にお付き合いくださいませね。

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cross #04 に続く

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